プロ野球の「ＳＭＢＣ日本シリーズ２０１６」で１０年ぶりの日本一を目指す日本ハムに、ヒットを打たなくても喝采を浴びる選手がいる。
８年目の中島卓也（２５）は２ストライクに追い込まれると、短く持ったバットでファウルを量産する。
９番・遊撃手で先発した２５日の第３戦も、粘って選んだ四球が得点につながり、持ち味を存分に発揮した。

　◇粘って最後に四球選択

　敵地の広島で２連敗した日本ハムは第３戦でも１点をリードされて終盤を迎えた。
八回、先頭打者として打席に立った中島は、３球連続を含む計５ファウルと粘り、１０球目に四球を選び出塁した。
「とにかく粘り、何でも良いから塁に出たかった」と中島。犠打で二塁に進んだあと、
２死一、二塁となり、４番・中田の２点適時打で生還した。
マウンド上の広島・ジャクソンは「追い込んだのに打ち取れなかった。そこから全てが始まった」とうなだれた。

　弱さを自覚し、向き合うことでプレースタイルを築き上げた。昨年は盗塁王、ベストナインに輝くなど、
俊足で守備範囲の広さを魅力とする一方、パワーが不足してプロ入り後、本塁打はゼロ。
そこで２ストライクと追い込まれてからは出塁することを最優先した。ギリギリまで引きつけて、最短距離でバットを出してファウルで粘る。
シリーズ第１戦でも計８ファウルの末、１２球目に四球で出塁した。
投手にとっては球数が増え、心身ともにスタミナを削られる厄介な存在となった。

　シーズン中は、左打者の中島のファウルが飛びやすい三塁側ベンチの選手がグラブをはめて備え、
スタンドではファンがファウルの合計数をカウントするボードを掲げるなど、いまや「ファウル打ち」は中島の代名詞だ。
城石打撃コーチも「球を見極めて、塁に出るとプレッシャーになる。ヒットと同じくらいの価値がある」と評する。
決して派手さはないが、一球一球の粘りでチームに貢献している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161026-00000049-mai-base